日本児童英語教育学会

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アピール

JASTEC

JASTECアピール

文部科学大臣 伊吹 文明殿

 

JASTECアピール―すべての小学生に豊かな外国語教育を!

日本児童英語教育学会(JASTEC)第26回秋季研究大会 

20061015

 

 日本児童英語教育学会(JASTEC)は19966月には「小学校から外国語教育を!」、200410月には「小学校で望ましい外国語教育を実現するために」というタイトルでJASTECアピールを出し、小学校への英語教育の導入と望ましい外国語教育実現のための条件整備について、文部科学省を始め関係諸機関、各種審議会に提言した。

 JASTECは1980年の設立以来、一貫して幼児・児童を対象とする英語教育を理論、実践の両面から研究、実践を積み重ねてきた。これらの知見を踏まえ、日本のすべての小学生に豊かな外国語教育体験を与えるために、去る327日に発表された中教審・外国語専門部会による審議の状況「小学校における英語教育について」に対して、以下の5点について改善策を提言する。

1.     教育課程における位置づけについて

 「小学校5、6年生で、領域または総合的な学習の時間で、年間35時間(平均週1回)程度、共通の教育内容を設定することを検討する」としているが、児童の言語発達の段階、言語習得の過程、社会心理学的観点から考えると、遅くとも3、4年生から必修化する必要がある。従って、教育課程改訂時は3年生のみ必修として、4年生以降については「総合的な学習の時間」等における英語活動の一層の充実を図るとともに、4年間かけて3年生〜6年生までを必修とすべきである。

2.     教育目標と小・中・高等学校の役割について

 教育目標において、「中学校においては小学校の英語教育を通じて、英語を聞くこと、話すことについて一定の素地があることを踏まえて…」、「高等学校においては、中学校の英語教育の成果を踏まえて…」のように、一定の素地、成果を踏まえて、といった曖昧な表現ではなく、小・中・高等学校における4技能、国際理解等について具体的な到達目標を示し、小・中・高等学校それぞれの役割を一層明確にすべきである。

3.     教育内容について

 教育内容について「子どもにとって身近な言語の使用場面を設定し、英語のコミュニケーションを体験させることでコミュニケーションに対する積極性を身に付けさせるとともに、それに適したテーマで言語や文化(国語や日本の文化など)について理解をさせることを基本とすること…」としているが、本来、国語科教育や社会科教育、その他学校教育全体で行うべき事柄を英語教育に求めすぎてはならない。このような意味で、資料として添付されている教育内容(試案)は問題が多いが、「現在の英語活動の充実を図る必要がある」としている低、中学年との関係についても、ほとんど配慮がなされていない。

 学習指導要領で提示する教育内容は、教育目標に照らして、子どもの生活・文化を反映した話題、場面、機能、文型・文法事項、単語のカテゴリー、国際理解の題材等を具体的に提示すればよい。この作業にあたっては、この分野に造詣の深い研究者、実践家を広く集めて、時間をかけ集中的、入念に検討することが肝要である。

4.     教材(テキスト、CD等)について

 3.で指摘した視点に基づき教育内容を作成し、現在文部科学省から刊行されている『小学校英語活動実践の手引き』のような教材、指導法、評価等について指針を示せば十分である。教材については、これまで教育現場から自由なかつ豊かな発想に基づき創意工夫に富んだすぐれた教材が作成されてきたことを考えると、教育現場や民間の出版社等に任せるべきである。小学校英語教育の豊かな可能性の芽を摘むべきではない。

5. 教員の確保、研修、養成について

 指導者は、「当面は学級担任とALTや英語が堪能な地域人材等とのティーム・ティーチングを基本とする方向で検討する…」としている。英語が堪能であることは指導者として大切な資質であるが、子どもに英語を指導するにあたり、さまざまな資質が要求される。ALTや地域人材等の採用にあたっては必要な資質を示し、一定の水準以上の人材を採用するとともに、教材や指導法、児童の理解等について十分な研修を実施する必要がある。

 担任については、英語教育の意義や目的、教材、指導法の研修に加え、英語(発音、会話等)の研修も必要である。また研修に参加するにあたり、経済的、時間的な支援も必要である。また将来的には各小学校に1名ずつ英語専科教員を配置するよう努力すべきである。

 教員養成については、大学の小学校教員養成課程における英語や小学校英語教育法等に関するカリキュラムや科目内容を検討するとともに、それを指導できる教員を配置し、小学校で担任として英語を指導できる教員、小学校で英語専科教員として英語指導の中核的な役割を果たせる教員の養成に、早急に取り組む必要がある。

 

 小学校英語活動の現状を考えると、今回の教育課程の改訂では、教科化へのステップとして領域または総合的な学習の時間で3年生から段階的に必修化し、4年間かけて3年生〜6年生までを必修とするのが妥当である。しかし、グローバル化、ボーダレス化が加速度的に進展するこれからの時代の変化を展望すると、次回の改訂では教科化は避けられない。文部科学省および関連審議会では次回の改訂も見据えて、中期的な展望に立って、上記1〜5の提言について慎重に検討し、解決を図るとともに、必要な予算措置を講ずるべきである。

 

 

 

 

付記:本アピールは2006年10月15日、JASTEC臨時役員会議において審議され、出席者の賛同を得て、同日、第26回秋季研究大会・総会において、出席会員全員の賛同を得て採択された。なお、臨時役員総会での賛同者は以下の通りである。

会長:樋口忠彦、副会長:小泉清裕 事務局長:國方太司 理事:大城 賢、加賀田哲也、片桐多恵子、國本和惠、後藤典彦、駒澤利継、佐藤令子、塩澤 正、築道和明、矢次和代、渡邉一保 会計監査:福智佳代子 運営委員:泉 惠美子、入江 潤、植松茂男、大村吉弘、奥村真司、幸田明子、衣笠知子、多田玲子、田辺義隆、西島裕里、平松貴美子、平本哲嗣、松村美佐子、箕浦永生、渡辺麻美子 顧問:伊藤 克敏、中山 兼芳

 

配布先

文部科学省 初等中等局長

      初等中等局 教育課程課

      初等中等局 国際教育課

      教科調査官(小串、平田、菅、太田)

内閣府 教育再生会議 主査

中央教育審議会 主査

        教育課程審議会 主査

        教育課程審議会・外国語専門部会主査

都道府県教育長

政令指定都市教育長

中核都市教育長

新聞各社(朝日、読売、毎日、日経、共同通信、時事通信、教育新聞、日本教育新聞)

雑誌各社(大修館、研究社、アルク)

日本放送協会(NHK)解説委員長

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